高井病院 心臓血管センター

失神・卒倒外来

失神と失神外来の使命

失神の発見と治療が、失神・卒倒外来の重要な使命です。

失神は救急外来受診の1-5%を占めるよくある症候ですが、原因は多岐にわたり精密検査をしても診断がつかない事も珍しくありません。しかし心臓病が原因の失神(心原性失神)は生命に関わる可能性があり、その発見と治療は、失神・卒倒外来の重要な使命です。

主な症状

 これらは全て失神を疑う症状です。意識を失うと身体の自由がきかなくなり倒れてしまう(卒倒する)ため、頭部打撲などの外傷を伴うこともあります。

失神と一過性意識消失

意識を失う原因は失神だけではない。

てんかんや心因性発作のほか、緊急性の高い重篤な病気の症状の一部の事があります。

高井病院失神・卒倒外来では、失神の鑑別だけでなく、失神以外の一過性意識消失の原因も検討し検査や他科専門科の受診を促します。

一過性意識消失(TLOC)の4つの特徴

TLOC:Transient Loss of Consciousness

一過性意識消失の原因は失神だけではない

TLOC:Transient Loss of Consciousness

European Heart Journal (2018) 39, 1883–1948を引用、改変

失神の病態生理と3つの鑑別

心原性失神(Cardiac syncope)は命に関わり得る重篤な疾患です。

 失神の最終的な病態は脳血流の低下です。心臓が送る血液の量(心拍出量)が低下している場合と、手足の末梢の血管が拡張している場合(末梢血管抵抗の低下)に大別されます。

 心臓に異常があって心拍出量が低下する病態が心原性失神(Cardiac syncope)で、命に関わり得る重篤な疾患です。

 一方、生理的な状態に対して不適切な反射を起こして血圧が低下したり脈拍が遅くなったりする病態が反射性失神(Reflex syncopeで、しばしば再発しますが基本的には予後は良好です。反射性失神の代表例は、朝礼や満員電車などの長時間の立位で誘発され、「脳貧血」と呼ばれています。ほかにも排尿、排便、咳など特定の状況で誘発されるのが反射性失神の特徴です。

 起立性低血圧(Orthostatic hypotension)は寝ている状態(臥位)や座っている状態(座位)から起き上がる時に、血圧の応答が間に合わなくて脳の血流が低下する状態です。一般的には「立ちくらみ」と呼ばれ、薬の副作用、脱水、自律神経障害などがその原因です。

European Heart Journal (2018) 39, 1883–1948を改変 

失神外来へのトリアージ

1項目でも当てはまれば、失神・卒倒外来に御紹介下さい

緊急性が高い病態は入院対応、循環器内科緊急コールを

受診前後のワークフロー

御案内

失神・卒倒外来

日時:金曜日 午前

場所:循環器内科外来

担当医師:押田 裕喜(おしだ ゆうき)

御紹介いただく場合は、当院の地域連携室に御相談下さい。

患者さんが直接来院される場合は、紹介状を持参して総合受付にお越し下さい。

事前に失神外来の問診表に御記入をお願いします。