これまでになかった胸の症状が出た
胸の圧迫感・締めつけ・重苦しさが、最近になって初めて現れた。
心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈が詰まる病気です。詰まった血管を再び開くまでの時間が短いほど、心臓の傷みを小さく抑えられます。強い胸の痛みが30分以上続くときは、119番に電話してください。
心筋梗塞について
心臓は、自分自身に血液を送る冠動脈という細い血管に養われています。この冠動脈が動脈硬化で傷んだところに血のかたまり(血栓)ができ、血流が完全に途絶えた状態が心筋梗塞です。血液が届かなくなった心臓の筋肉は、時間とともに元に戻らない傷みへと進んでいきます。
こんな症状は緊急のサイン
胸の中央が締めつけられる・押さえつけられるような強い痛みが代表的で、休んでも和らがず、30分以上続くことが多いのが特徴です。
見逃したくないサイン
心筋梗塞は前触れなく突然起こることもありますが、数日から数週間前に、胸の症状の出かたが変わることがあります。次のような変化は不安定狭心症と呼ばれ、心筋梗塞に移行する危険が高い状態です。
胸の圧迫感・締めつけ・重苦しさが、最近になって初めて現れた。
これまで平気だった距離の歩行や、ゆるやかな坂で症状が出る。
座っているとき、夜間や早朝、入浴中などにも症状が出る。
症状の頻度や強さが増している、以前よりおさまるまでが長い。
発症の原因
動脈硬化とは、動脈の内側にコレステロールなどがたまり、血管が詰まったり硬くなったりして弾力性を失った状態です。血管の老化現象なので、歳をとると誰にでも起こる可能性があります。次のような要因をお持ちの方は、症状がなくても一度ご相談ください。
違いを知る
どちらも冠動脈の病気ですが、血管が「狭くなった」か「詰まった」かで危険度が大きく変わります。
冠動脈が狭くなり、心筋に十分な血液が届きにくくなった状態。
胸の痛みの長さ数分程度でおさまることが多い
対応外来で検査を行い、治療方針を相談
冠動脈が詰まり、心臓の筋肉が傷んでいく状態。
胸の痛みの長さ30分以上続くことが多く危険
対応119番に電話し、緊急で血流を回復
主な検査
緊急の場面では、まず心電図と採血で心筋梗塞かどうかを判断します。落ち着いた状態で胸の症状を調べる場合は、体への負担が少ない検査から進めます。
心臓の電気の流れから、冠動脈が詰まっている部位の見当をつけます。到着後すぐに行う最初の検査です。
傷んだ心筋から血液中に漏れ出る成分を測り、心筋の障害があるかを確かめます。
心臓の動きが低下している場所を、体に負担なくその場で確認します。
手首や足の付け根からカテーテルを入れ、どの血管がどこで詰まっているかを直接映し出します。そのまま治療に移ることができます。
緊急ではない胸の症状の場合に、冠動脈の狭まりを立体的に確認できる負担の少ない検査です。
心臓に負荷をかけたときの変化や、心筋の血流を評価し、虚血の範囲を調べます。
当院の治療
心筋梗塞の治療の中心は、詰まった血管をできるだけ早く再開通させる緊急のカテーテル治療です。胸を開かずに行えるため、体への負担を抑えられます。
手首や足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、詰まった部分をバルーン(風船)で広げ、ステント(金属の網)で内側から支えて血流を回復させる治療です。血のかたまりを吸引することもあります。救命と、心臓の筋肉をできるだけ多く残すことをめざします。
血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬)、心臓の負担を軽くする薬、動脈硬化の進行を抑える薬などを組み合わせ、再発と心不全を防ぎます。退院後も継続します。
治療のあと
一度心筋梗塞を起こした方は、再発を防ぐ取り組みがそのまま次の発作を減らすことにつながります。当院では、薬の調整と心臓リハビリテーションの両方でお手伝いします。
血液を固まりにくくする薬やコレステロールの薬は、自己判断で中断しないことが最も大切です。気になる症状があれば、やめる前にご相談ください。
血圧・コレステロール・血糖の管理と禁煙。体重や食事の見直しも、外来で一緒に進めます。
どのくらい動いてよいかを検査で確かめながら、安心して体を動かせるところまで進めます。
受診から治療まで
強い胸の痛みが続いている場合は119番に電話してください。ここでは、症状が落ち着いている段階で外来を受診される場合の流れをご案内します。
胸の症状の出かた・続く時間・持病・生活習慣などをうかがいます。
心電図・採血・心エコー・冠動脈CTなど、必要な検査を行います。
結果をもとに、薬物療法・カテーテル治療(PCI)などを提案します。
治療後は外来でフォローし、生活習慣の見直しや心臓リハビリへつなげます。
よくある質問
前触れなく突然起こることもありますが、数日から数週間前に胸の症状の出かたが変わることがあります。これまでになかった胸の圧迫感が出る、以前より軽い動作で出るようになった、安静にしていても出る、回数が増えた、といった変化は不安定狭心症と呼ばれ、心筋梗塞に移行する危険が高い状態です。心当たりがあれば、症状が軽くても早めに循環器内科へご相談ください。
迷ったときは119番に電話してください。強い胸の痛みが30分以上続く、冷汗や吐き気を伴う、息が苦しいといった場合は、ためらわずに救急車を呼んでいただいて構いません。心筋梗塞は、詰まった血管を再び開くまでの時間が短いほど心臓の傷みを抑えられる病気です。なお、ご自身で車を運転して向かうのは、途中で意識を失う危険があるため避けてください。
はい。ご高齢の方や糖尿病のある方では、胸の痛みがはっきりしないことがあります。息切れ、吐き気、冷汗、なんとなく気分が悪い、急に元気がなくなったといった症状だけのこともあり、痛みを伴わない心筋梗塞(無痛性心筋梗塞)が起こることも知られています。いつもと明らかに様子が違うときは、胸の痛みがなくても受診をご検討ください。
どちらも心臓に血液を送る冠動脈の病気です。狭心症は冠動脈が狭くなって血液が届きにくくなった状態で、胸の症状は数分程度でおさまることが多いのに対し、心筋梗塞は冠動脈が詰まって心臓の筋肉が傷んでいく状態で、強い胸の痛みが30分以上続くことが多く、緊急の治療が必要です。狭心症について詳しくは胸の痛み・狭心症のページをご覧ください。
健康保険が適用され、高額療養費制度の対象です。自己負担額は所得によって異なりますが、70歳未満の一般的な所得の方で1か月あたりおおよそ9〜18万円程度、70歳以上(一般所得区分)の方では57,600円が上限となることが多いです。緊急入院で「限度額適用認定証」の準備が間に合わなかった場合も、あとから申請して払い戻しを受けられます。
※ 金額は制度に基づく一般的な目安です。所得区分・加入保険・治療内容により異なりますので、詳しくはお問い合わせください。
処方された薬を自己判断で中断しないことが最も大切です。あわせて、血圧・コレステロール・血糖の管理、禁煙、体重や食事の見直しを続けます。当院では心臓リハビリテーションを行っており、運動の強さを検査で確かめながら、安心して体を動かせるところまで一緒に進めていきます。
外来・アクセスのご案内
ご予約・お問い合わせは、心臓・循環器・不整脈の専用ダイヤルへ。診療日・アクセス・関連施設(香芝高清会病院)の外来は診療案内ページをご覧ください。
胸の痛みのご相談 0743-65-5552